8月30日(日)、明光フリースクール大岡山校で開かれた「夏休み明け前相談会」に伺いました。
スクール長の阿久津悠司さんからお声がけをいただき、9月1日を目前にしたこの日、9時から18時までいつでも来校できるかたちで、2学期の始まりに不安やストレスを抱えるお子様と親御様に相談の機会を開く、という趣旨のイベントです。
大岡山駅から徒歩1分、商店街のなかに
場所は大田区北千束1丁目、大岡山駅から徒歩1分ほど。商店街の一角のビルの2階にあります。
階段の下には、手書きのホワイトボードが置かれていました。

明光フリースクール 9:00〜18:00 OPEN 子どもたちだれでも参加可!! モルック・ボードゲームであそぼう なつやすみがおわる「うわぁ〜」って気持ちも ここでは出そう
この一枚に、この日の趣旨が全部書かれているように思いました。
なぜ、自分の足で見に行くのか
不登校のご相談をいただく機会が増えています。
そのたびに感じるのは、「不登校」とひとことで言っても、原因も、お子様の状態も、必要な支援も、ひとりひとりまったく違うということです。
だからこそ、「こういうところがありますよ」とお伝えするときに、自分の目で見ていないものをおすすめすることはできない、と考えています。
それぞれのフリースクールに特徴があり、雰囲気があり、大切にしていることがあります。その違いを知っていてはじめて、「このお子様には、ここが合うかもしれない」とお伝えできる。
そんな思いから、区内・近隣のフリースクールの見学に伺わせていただいています。
伺った日の様子
お邪魔したのは13時頃。ちょうど、他の校舎(それも他自治体!)とオンラインでつないで、みんなでマインクラフトをしている時間でした。
画面の向こうにも、同じように過ごしている子どもたちがいる。物理的な距離を越えて、一緒に何かをする時間が成立していることに、率直に驚きました。
室内にはボードゲームがずらりと並び、体を動かして遊べるものも用意されていました。

一方で、机があり、参考書もあります。個別指導のブースや面談室もある。見た目は「ふつうの塾」なのですが、そこで自由に過ごしていていい、という空気が流れていました。
「自由に過ごしてほしい」というスクール長の想いが、そのまま空間になっているのだと感じました。
印象的だったのが、スーツケースを開いてつくられた「かたすみ図書館」。

『子どもと若者のための認知行動療法ワークブック』『不登校・ひきこもりのための行動活性化』『場面緘黙の子どものアセスメントと支援』『10代の憲法な日々』『12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』——お子様向けの本も、親御様向けの本も、支援者向けの本も並んでいます。
そばには「今日のオススメ!! みんなの好きな本も教えて!」という手書きのボード。一方通行ではなく、子どもたちからも返ってくることを前提にしたつくりでした。
スクール長の、これまで
スクール長の阿久津さんは、もともと不登校のお子様への訪問支援を10年以上経験されてこられた方だそうです。
チラシには「”ドア越しの関係構築”もしてきた」という言葉がありました。部屋から出られないお子様と、ドア越しに、時間をかけて関係をつくってきた、ということだと思います。

現在も「おうちで体験フリースクール」として、ご自宅への訪問によるフリースクールの説明と、遊びや会話を通したお子様のカウンセリングを行っているとのことでした(料金無料/小学生〜高校生/大岡山駅より半径2km圏内または東急目黒線・東急大井町線沿線/月・水・金 15〜18時、土日午前も応相談)。
「出かけて行くのは抵抗がある」というお子様が多いことを、実感として知っている方の設計だと感じました。
令和7年の児童生徒の自殺者数は、538人。過去最多です
この相談会が8月30日に設定されたことには、はっきりとした理由があります。
まず、共有させてください。文部科学省が令和8年7月3日に発出した通知「児童生徒の自殺予防に係る取組について」(8初児生第10号)に、次のことが明記されています。
厚生労働省・警察庁の自殺統計によると、令和7年の児童生徒の自殺者数は538人(令和6年確定値:529人)と、過去最多となりました。
減っていないどころか、増えています。
そして、時期についても明確に記されています。
- 平成21年以降の児童生徒の自殺者数を日別でみると、8月後半から増加し、特に長期休業明けの9月1日に多くなる傾向にある
- 地域別にみると、北海道・東北地方では、その他の地域よりも2週間ほど自殺者数が増加する時期が早い。これは、長期休業明けが1〜2週間早い傾向にあることと関連があると考えられている
- 直近2年間(令和7年及び令和6年)は、9月の自殺者数が最も多い状況にあった
2つめの「北海道・東北では2週間早い」という指摘は、とても重い意味を持っています。
休みが明ける日がずれれば、増える時期もそのぶんずれる。 つまりこれは、季節や気候の問題ではなく、「学校が始まる」ということそのものが、子どもたちに重くのしかかっていることを示しています。
だからこの日付は、語呂合わせでも印象論でもありません。国が、統計にもとづいて、繰り返し注意を促している時期なのです。
なお通知には、原因・動機についても記載があります。令和7年の児童生徒の自殺について、学校問題のうち約6割が学業不振や入試、進路に関する悩みであったこと。また、いじめが16件(令和6年:9件)と前年より増加していること。
▼通知の全文はこちらから読むことができます(別添資料もすべて公開されています) 文部科学省「令和8年7月3日 児童生徒の自殺予防に係る取組について(通知)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1414737_00033.htm
だからこそ、この日に、この場が開かれた
「学校に行きたくないのであれば、行かなくてもいい」 「居場所は、ひとつじゃない」 「やり方も、ひとつじゃない」
9月1日を目前にしたこの日に、そういうメッセージを届けたい。それがこの相談会の趣旨でした。
会場には寄せ書きが用意されていて、私もメッセージを寄せさせていただきました。
国の通知は、学校に対して見守り体制の強化を求めるだけでなく、保護者や地域住民の参画を得た見守り活動の強化を求めています。学校の外に、大人の目がいることが必要だ、ということです。
その意味で、こうして地域のなかに開かれた場所があることには、はっきりと意味があると思っています。
地域のみなさまへ、ひとつだけお願いです
これは、区議会議員としてではなく、ひとりの大人として、そしてひとりの保護者としてのお願いです。
これから2学期が始まります。もし、顔色のすぐれないお子さんを見かけたら、ひとこと声をかけていただけないでしょうか。
登校の時間に、うつむいて歩いている子。いつも元気なのに、今日はやけに静かな子。学校がある時間なのに、ひとりでいる子。
「おはよう」でも、「暑いね」でも、「いってらっしゃい」でも構いません。
解決してあげる必要はありません。事情を聞き出す必要もありません。ただ、「この街には、自分のことを見てくれている大人がいる」——そう感じられることが、その子にとって、思っている以上に大きな支えになります。
思いつめているとき、人の視野はとても狭くなります。「誰も自分のことなんて気にしていない」と思い込んでしまいます。そのときに、まったく利害関係のない近所の大人からかけられたひとことが、その思い込みをほどくことがあります。
商店街のみなさま、自治会のみなさま、登下校の見守りをしてくださっているみなさま、いつも本当にありがとうございます。そのうえで、この時期だけは、少しだけ目線を子どもたちに向けていただけたらと思います。
子どもたちが健やかに、安心して過ごせる大田区であるために。どうぞよろしくお願いいたします。
「どこかに行けば解決する」問題ではないからこそ
先日まとめさせていただいた大田区不登校支援まとめでも触れましたが、不登校をめぐる支援の仕組みは、非常に複雑です。
学校、教育センター、スクールソーシャルワーカー、適応指導教室、フリースクール、医療機関、民間の居場所——それぞれに役割があり、入口があり、条件があります。
どこか一か所に行けばすべてが解決する、という単純な話ではありません。
お子様の状態、性格、不登校に至った背景。そのそれぞれに応じて、組み合わせも順番も変わってきます。
そして、それを組み立てていく親御様の多くが、いま、働きながらその渦中にいらっしゃいます。
小さいうちは職場も温かく見守ってくれた。でも小学生になった今、「そろそろ働く時間を増やせるのでは」という空気を感じる。産前のように役に立ちたい、という気持ちもある。経済状況の厳しさのなかで、少しでも手取りを増やしたいという事情もある。
そのうえで、家から出られないお子様を見守りながら、外に情報を取りに行き、相談に行く——。
時間的にも、精神的にも、余裕がなくなって当然の状況だと思います。
思いつめると、どうしても視野は狭くなります。
だからこそ、動ける人が、動ける範囲で情報を取りに行き、届ける。働きながらでも、家にいながらでも、情報にたどり着けるように。
そんな思いで、発信を続けています。
最後に、少しだけ
こうした発信は、さまざまな受け取られ方をするだろうと承知しています。特定の事業者を紹介することが、別の意図で捉えられる可能性があることも、覚悟のうえです。
そのうえで、あえて真意をお伝えするならば——
阿久津さんは、私が書いてきた記事を丁寧に読んでくださっていました。そして、私が不登校の保護者という当事者の立場からも発信していることを理解したうえで、ご連絡をくださいました。
今回の相談会も、ご自身が相談を受けるだけでなく、不登校に関わるさまざまなコミュニティの方々が集まり、交わることで、親子の選択肢を広げる場にしたい、という趣旨で企画されたものだと伺っています。
私がお伝えしたいことは、ひとつだけです。
選択肢は、ひとつではありません。
学校に行くか、行かないか。その二択ではありません。居場所も、学び方も、相談先も、複数あります。
いま、しんどい思いをされているお子様と親御様に、そのことだけでも届いたら、と願っています。
情報・相談先

明光フリースクール大岡山校
所在地:大田区北千束1-51-6 サンルミナス2F
TEL:03-6694-1282
MAIL:fs-ookayama_11302@freeschool.meikogijuku.jp
受付時間:9:00〜18:00(土日祝を除く)
HP:https://freeschool.meikogijuku.jp
んどいとき、まずは声を出せる場所につながってください。ひとりで抱えなくて大丈夫です。
私あてのご相談も、いつでもお受けしています。

